(Media from WIX)
世界経済フォーラム(WEF)が今月13日に発表した、世界の男女格差の状況をまとめた、2022年版の「ジェンダーギャップ報告書」で日本は116位だったこと、みなさんご存知ですか? そのような日本の状況に私も加算してきたのではないかな、と思わされる出来事がありました。
私の田舎の家があるプライベート・レイクコミュニティーには、Eメールによるコミュニティー掲示板があり、情報や意見を交換し合える場になっています。私も利用してきましたけど、アメリカ人がいかに自分の意見をはっきりいうか、今更ながら驚きます。日本人だったら穏便に済ますであろう話題が炎上することもしばしば。
そして、言いたいことを書く時は匿名を使うことが多い日本の一般人のやり方とは違い、皆さんきちんと本名を明記します。
昨日、男性の住民、Mさんが「男子ソフトボール」に関する投稿をしました。
「今からレイバー・デーの週末まで、毎週日曜日の午前10時からコペーク・メモリアル・パークで行われる、楽しい男子軟式野球のピックアップゲームに参加しませんか。
この集まりは約35年前に始まって、幅広い年齢層のプレイヤーが交代で参加しています。」
※ レイバー・デー(労働者の日、9月の第1月曜日)
※ ピックアップゲーム:集まった参加者が即席でチームを作ってゲームを行うこと
私はさっそく、マンハッタンにいた連れ合いにメッセージしました。「あなたも参加したら?楽しそうじゃない」
「そうだね、昔はミットを持っていたけど、どこいっちゃったかな」と彼。
数時間後に、Tさんという女性の住民が、
「男子だけ?」と投稿。
Tさんは、もう引退している60代後半のユダヤ系夫婦の片方でとてもフレンドリー。向かいのゲイカップルと共に、私がこのコミュニティーに住みはじめてから歓迎してくれて、ご主人と私の連れ合いも一緒に外食をしたこともあります。
「私も同じ質問をしようと思っていたわ!」ともう一人の女性が投稿。
「私の成人している娘もプレーしたいと思うわ」ともう一人の女性。
「過去に女性が参加したこともあるよ。頑張れ!」と他の夫婦が連名で投稿。
そのようなやり取りを読んで私は思ったのです。
「これだからアメリカ人女性は面倒。草野球ぐらい男子だけでやらせてあげたらいいのに。」
同性だけでワイワイやるのって楽しいじゃないですか。
英語には、男性同士の絆を表現する“Male Bonding”という言葉がありますけど、女子会の意味の”Girls’Night”という言葉もあります。
男子草野球がダメなら、女子会もダメなの?
私の思いを連れ合いにメッセージすると、
「僕は女性もプレイさせてあげるべきだと思うよ。」という返事。
ヘェ〜、そう思うんだ。
先週、ふらっと向かいの家に行ったきり夕食時になっても帰って来なかったので(そしてスマホは家においたまま)、「外出するのはまったく構わないのだけど、連絡ぐらいしてよね」と要求すると、「男は男だけで集まりたい時もあるんだよ。ビールを出されて飲みはじめたら忘れちゃってさ。」と言ったばかりの彼。それと違うわけ?
女性参加の意見が続いて困っただろうMさんは、Tさんだけに
「ずっと、男子だけのゲームだったんだよ。」と一言メールしたのですね。それをTさんはわざわざコミュニティー全体に転送して、
「『ずっと』の意味がよくわからないけど、女性が何人も参加したいみたいだし、(時代に合わせて)変わって、インクルーシブになるべき時ではないですか?
男性の友人達と集まりたいならそれはそれであなたの権利ですけど、このコミュニティー掲示板に投稿したのだから、いかなる差別もいけないと思います。」と自分の意見を明言。
うわぁ〜。罪なき男子草野球の投稿をそこまで持っていっちゃうわけ?と、Mさんに同情まで感じた私。
そうしたら、私はゲイと知っている向かいの住民が、自分の役職(歯科医)と勤務先を含む署名付きのメールで、
「"全員参加型 "に一票。
正直、まだそうでないのが不思議なくらい。」と投稿。
そこで私は気がついたのですよ。そうか、アメリカの女性と少数派は、こうやって自分達の権利を少しずつ勝ち取ってきたのね。声を上げなきゃ何も変わらない。
そして古い教育を受け、「明治の女」と私と妹があだ名をつけた母に育てられた私は、日本の男尊女卑社会を黙認し、男性の反感を買わない「話がわかる」女性であり続け、女性社会的地位の促進を遅らせる大きな原因になっている同性のひとりであるわけだわ!
目から鱗、大反省をしました。
そう言えば、日本の義理の弟が率先してやっている草野球に、元女子プロ野球選手の姪を誘って大歓迎で参加させていたな。ま、彼女の場合は、女子でも自分達アマチュア男子より優れたプレイヤーだから、という理由もあったのだろうけど。
Mさんから今朝、上記のやり取りの締めくくりが届きました。
「今回の軟式草野球について定義します。
この試合は男女ともに参加できます。歴史的には(大袈裟!)、このゲームはほとんどの場合に男性オンリーでしたが、その間には、競技のレベルや試合そのものが自分に適していると考える女性も何人か参加してきました。現在の試合では、非常に優秀な選手もいれば、それほどでもない選手もいる。若い選手もいれば、そうでない選手もいる。参加者は週ごとに異なります。ゲームは楽しいものですけど、競争は激しいです。試合は社交的なだけでなく、遠慮ない冗談を言い合うような雰囲気もあります。この集まりの感じが魅力的に思えるなら、あなたは選手の一員です。 」
つまり、「面倒だけど仕方がないか〜」とポリコレに締め括りながら、参加したい女性たちに釘をさしたわけです。
と同時に彼は今朝、他の地域のコミュニティ掲示板に
「男子軟式草野球に参加しませんか?」
と投稿したのを見て笑っちゃいました。
いや、これは可笑しく思ってはいけないのかもしれません。
だって彼は、自分の考え方の間違いに気づいた私と違って、自分が変わらなくてはいけない、とは思わなかったのですから。
これって、白人男性達が、自分達が主導権を持っていた「良き昔」にしがみついて、少数派の台頭を苦々しく思っている、現在のアメリカに起こっている問題の根本的な状況そのもの。
それにしても、「私はまだまだ変わらないと!」と思わされた一件でした。
そうですよね、女子会に突然男性が参加しても、それはそれでいいじゃないですか。
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